薬の管理について

医療現場での話

管理ができないのは認知症の始まり

調剤の仕事をしていて感じたことですが、

高齢者の飲み薬は1日分がたくさんあります。

血圧、不整脈、コレステロール、骨粗鬆症、

痛み止め、胃薬、便秘薬、ビタミン剤、安定剤、睡眠導入薬…

多い人は1回に10錠以上服用しています。

それを

朝、昼、夜、寝る前。

食前、食後、起床時。

中には、週に1回起床時なんて処方もあります。

そりゃあ、しっかりしている人でもわからなくなるだろうなぁ。

なぜ処方される薬の種類が多いのか

なぜ、そんなにたくさん薬を飲むのでしょうか?

最近は、薬の処方が多すぎるということが問題になっていますが、

なかなか減らすことはできません。

何故かというと、診察時にいろいろと身体の不調を訴えるからです。

身体が痛い、手足が痺れる、頭痛がする、ドキドキする、だるい、便秘する、眠れない…

先生、薬を出してもらえないでしょうか?

となります。

中には重篤な病気のこともありますが、大概は不定愁訴です。

薬を飲んでいるから安心!ということでしょう。

医師が、飲み過ぎだから処方できないと説明しても、

あれを飲んでおかないと私はダメなんだ!と、

薬を減らすことを拒絶する方が多いのです。

そうやって大量の薬を飲むことになります。

薬の飲み間違い = 認知症の初期症状

処方される薬の種類がたくさんあるので、

飲み間違いを防ぐために、【一包化】という方法があります。

飲むタイミングが同じ薬(朝食後に3種類など)を

シートから外して、一つの袋にパックします。

一包化された処方薬

袋には用法や日付を印字します。

こうしてお渡しすると、認知症ではない方は

ほぼ間違えずに服用できます。(1、2日くらいの飲み忘れは誰にでもあります。)

しかし、認知症の症状がある方は

印字を理解できずにたくさん余ったり、

一日にたくさん飲んでしまって足りなくなることもあります。

そして、自分の間違いを認めないので、薬局が間違えたと大騒ぎになります。

自分で薬の管理ができなくなるということは、

誰かが管理をしなければならないということです。

要するに介護が始まるということです。

家族が管理するのか、ヘルパーさんにお願いするのか

考えなければなりません。

ただ、私が見てきた患者の家族の方で、

薬の飲み間違い = 認知症の初期症状

と、考えるご家族の方はほとんどいませんでした。

ボケーっとしてるから間違えるのよ!とか、

たくさん渡してわからなくなってるから、処方する医者が悪い!とか。

本人の診察に付き添って、飲み間違いを医師に相談する

という方は、本当に少ないのです。

オーバードーズで認知症が進行した母の話

私の母は、アルツハイマー型認知症です。

おかしいと気がついたのは、6年ほど前。

認知症外来で検査をした結果、アルツハイマー型認知症でした。

母は、病院受診と検査、市販薬の購入が好きでした。

(認知症の検査も、脳の検査に行くからと言ったら喜んで着いてきてくれましたww)

子供の頃から身体が弱かったらしく、頭痛持ちで鎮痛剤を常備していました。

また、おかしなことに、

総合感冒薬を飲むと頭がスッキリすると言って一度に3箱購入していました。

後に、若者のオーバードーズが問題になりたくさん購入することができなくなったことで、

ドラッグストアをはしごするようになりました。

かかりつけの内科では、血圧の薬とアトピー体質のためアレルギーの薬、

安定剤と睡眠導入薬をもらっていました。

かかりつけの先生には、市販薬を服用していることを隠していたようです。

私が、一緒に飲んではいけないと説明しても、

先生は飲んでいいと言った!と嘘をつき、服用をやめませんでした。

次第にボーっとしていることが多くなりました。

弟と2人暮らしだったので、昼間は1人で、テレビを観ながら横になったまま寝ているのです。

昼間に寝るので、夜は眠れなくなります。

処方されている睡眠導入剤が効かずに、2錠飲む日もあったりで

だんだん寝てるのか起きているのかわからなくなりました。

あまりにも危険な状態でしたが、とりあえず家から出そうということだけを考えていて、

心療内科受診などは考えられない状況だったので、すぐに受け入れができた施設に入所させました。

処方された薬だけを飲むように管理してもらい、やっと落ち着いたということがありました。

他にもいろんなことがあり、今は別の施設で暮らしていますが、

決められた薬以外の服用は、本当に危ないということを実感しました。

私も頭痛持ちで、ちょっと体調が悪いと、すぐに薬に頼る生活をしていました。

しかし、母を見ていて怖くなり手元に市販薬を置かないようにしてみました。

すると、以外にもスッキリしています。

薬には必ず何かしらの副作用があります。

簡単な判断で服用してはいけないなと思いました。

些細な変化でもかかりつけ医に相談をする

薬の飲み間違い程度で、即、認知症だと思うのは大袈裟だと思うかもしれません。

しかし、薬の服用は毎日のことです。四六時中見守ることなんてできません。

介護生活の始まりかも知れないと考え

早めに専門機関に相談し、準備をすることは大切なことです。

本人が一緒に受診するのを嫌がるのであれば、

無理に連れて行かなくても、ご家族だけで相談に行ってもいいのです。

もしも認知症発症が疑われる場合は検査を受けて、

行政の介護手続きを進め、早めに相談できる窓口を作っておくことが大切です。

介護は家族だけではできません。

自分の生活の負担が少なくてすむように、早く行政の協力を受けましょう。

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