コロナ禍以降、家族葬や墓じまい問題など身内や自分の死について考えることが多くなってきているようです。テレビでもよく特集されていますね。もちろん、死後どうしてほしいかを決めておくことは大事なことです。
しかし、介護をしていて思うことですが、死んだ後のことよりも死ぬまでのことを考えておいて欲しいのです。いわゆるピンピンコロリで亡くなる人は少なくて、ほとんどの人は、病気や認知症で介護が必要になります。誰が面倒を看るのか、施設に入るのか、老後の貯蓄はあるのか、年金生活で余裕はあるのかなど、介護の問題は山ほどあるのに元気なうちに家族で考えている人は少ないように感じます。
1960年代から核家族化が進み、人が高齢になって亡くなるまでの状態を身近でみることも少なくなりました。今、その世代の方が高齢者という立場になっています。20年ほど前までは、今ほど介護の仕組みが充実していなかったので、この世代の方は自分が子供のころ親がやっていたように、親は子である自分たちが看るものだと思っています。同居したり実家へ通ったりして親の世話をしていた方が多いのではないでしょうか。
そして、自分たちが高齢になった今、当然お世話は子供がするものだと思っているのでしょう。しかし、核家族で育った子供たちは、人が老いる過程を見たことがありません。経済的にも厳しい時代になり、定年後も働かなければ自分たちが食べていけない時代です。親の面倒を看ながら仕事をするのは簡単ではないし、だからといって退職したら自分たちの生活がままなりません。自分が介護をすることになるなんて考えたくありません。
現代社会は、誰もが働いて収入を得ないといけなくなっています。子育ても大変な時代で、子供を保育園にあずけて、一生懸命働いています。やっと子育ても終わり、自分のために働けるようになったと思ったら、今度は親のために仕事が制限されるのです。親世代がおこなっていたような介護は、現代では難しいのです。
私のことを例にあげてお話します。
義母との生活
私は今、夫の実家で義母と同居をしています。義父は夫が小学生のころ病気で他界しています。結婚したときに義母から「長男が親を看るのは当たり前のこと!」と言われました。ここは兼業農家が多い田舎で、当時は周りのご家庭は2世帯3世帯同居ばかりでした。私も若かったのでそうするものだと思い嫁入りしました。結婚して30年が過ぎ、義母は90歳になりました。頭はしっかりしていますが、足腰が弱り耳も遠くなってきました。
義母は、当然最期まで看てもらう気でいます。しかし、30年前と違い周りの仲間は介護施設に入る人が増えてきました。もしかして自分も…(?)と思っているようです。
義父の姉のこと
周りの仲間といえば、うちの隣の家に若いときに亡くなった義父の姉Aさん(長女)が住んでいました。その方は独身で小さな家を建てて独り暮らしでした。近所にはもう一人義父の姉Bさん(次女)がいて、世話が必要になったらBさんが看るのだろうと誰もが思っていました。
Aさんが85歳くらいになったころ、認知症らしい症状がでてくるようになりました。後に検査をするとレビー小体型認知症を発症していました。幻聴や幻覚があり、「家の中で男の人が話している」とか昼夜が逆転していて夜なのに「外が真っ暗で夜が明けない」と電話をしてきたりということがありました。Bさんが心配して家に行くと、姉妹で喧嘩になり最後はいつも「私はここで野垂れ死にするから放っといて!」となりました。そしてBさんは義妹であるうちの義母に「あんたが何とかせんね!!」と八つ当たりをして帰っていく。という毎日が繰り返されていました。そういうことが3年ぐらい続き、私を含め周りの親族が介護の限界を迎えたので、近くの施設にお世話になることになりましたが、結局、親族はみんな高齢だったり忙しいとか理由をつけて、一番近くの甥である私の夫が身元引受人になり、実質施設とのやり取りは私がすることになっています。そんなAさんも現在96歳。施設での生活は8年目になりました。一時は危険な状態でしたが最近はまた施設で穏やかに生活しています。
いちばん厄介な実母のこと
実家の母は、10年前に父が亡くなってからアルツハイマー型認知症を発症し、昨年から施設に入りました。実家は持ち家がなく、父が亡くなってから、独身の弟が借りているアパートに住んでいたため、認知症では賃貸で暮らしにくくなり、私が身元引受人になり介護施設のお世話になることにしました。
この母が、施設に入るまでが大変だったのです。
母は人付き合いが下手で、父の親族との付き合いも全くしておらず、自分の親族ともなかなか上手に付き合えず孤立していました。友達も近所付き合いもできなかったので、人のお世話など見たことも聞いたこともありません。父が癌になったときもオロオロしていたし、亡くなったときも悲しむばかりで葬儀の段取りなど全くできず、私と弟でなんとかこなしました。
そんな母は、よく外出先で見かけたお年寄りをバカにしていました。「腰が曲がって歩きにくそう」「レジでもたもたして後ろに並んでいるとイライラする」など。私は「誰もがそうなるんだよ。自分がそうなったときのことを考えとかないと」と言うと、「私はコロッと死ぬから大丈夫!」と言って私をイライラさせていました。
暮らしぶりも自由気まま。好きなときに好きなものだけ食べて、小さいアパートの中での家事をするだけで体を動かしていると満足し、ベットに横になりテレビを見てうたた寝する。出掛けたいときは私を呼び出す。車で1時間の距離を都合つけて迎えに行くと、「今日は出掛ける気分じゃないからまた今度にしよう!」と言う。そんな生活じゃ、認知症になるよ!と注意しても「そのときはすぐ死ぬから(笑)」ということを聞かない。
そのうちにだんだんと出掛けるのも億劫になり、ベットの横に机を置いて食事はそこで食べる。食事量も少なくなり、お風呂も面倒になり、ベッドに横になっていることが多くなってきました。検査に連れて行くと、アルツハイマー型認知症を発症していました。本人はすでに内容を理解できないくらいになっています。それからすぐに、介護申請をして、デイサービスへ。しかし、動かないし食べないのでどんどん体力は落ちていき、弟が仕事に行けなくなるので施設入所を決めました。
母の抵抗はものすごく、抵抗しすぎて精神的にも病んでしまいしばらくは危険な状態になり精神科に入院をしました。現在は、私の家の近くの施設に入所できていて、スタッフの方に優しくしてもらい笑顔がでるようにまで回復しています。ただ、相変わらず面倒くさがりでリハビリは拒否。認知症の症状は進み、歩くことはできません。
「私はボケない!すぐに死ぬから大丈夫!」って言ってたのはなんだったのでしょうね(笑)
手遅れになる前に介護のことを考えよう!
私の周りの高齢者はこんな感じでボケてもすぐには死ななかったのですが(笑)、死んだ後のことはきちんと決めてあるので心配はないようです。
でもやはり大変なのは今お話ししたように死ぬ前のことです。高齢になって認知症を発症してからでは正常な判断ができなくなります。悲しいけれど介護者ともまともな相談はできなくなると考えておかなければなりません。
自分が、親が、認知症になるということは考えたくないかもしれません。しかし、現実には介護で悩まれている方はたくさんいます。ということは、話し合えるうちに認知症や介護について深く知っておくこと、その話を家族で共有しておくことが大事なのです。
何が問題なのか。
お金の問題
年金で足りるのか、公的な補助は受けられるのか。子供たちに援助してもらわくていいようにするにはどうしたらいいのか。
施設に入りたくない場合
誰に介護を頼むのか、その人は介護しながら自らの生活も心配なくできるのか、公的支援はどんなものがあってどんなことができるのか。
施設を検討する場合
どういった施設があるのか、どういう状態なら入れるのか、保証人などの仕組みはどうなのか、居住地域との兼ね合いはどうか。
介護については、実際その立場にならないとわからないことがたくさんあります。ほとんどの人が通る道です。情報はいろんなとこに公開してあります。考えたくないことではありますが、お互いに悲しい思いをしないように、元気なうちに計画しておきましょう。

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